RSP-01とは?

超小型人工衛星「RSP-01」は、スタイリッシュなデザインの筐体であることにこだわり、地球の周りを回りながら宇宙空間でアームを伸ばして地球を背景にカメラで『自撮り』(Selfie)をすることがメインミッションの人工衛星(CubeSat)です。 また、撮影した写真のなかからベストな画像を自動で選び、地上へ届けます。さらに地上からツイッターで集まったメッセージに「RSP-01」の部品が自動で返事をするという『チャット』をサブミッションとしています。 愛称「セルフィッシュ」(Selfie-sh)という名前には、英語で自撮りを意味するSelfieと、RSP-01に思うがままのミッションを詰め込みたいという開発メンバーのワガママ(Selfish)と熱い想いが込められています。

2022年06月10日 RSP-01は、17,067通のお願い事と共に流れ星となり、担っていたミッションを無事終えました。 本当にありがとうございました!
2021年06月24日 英語版ページ を公開しました。右上のボタンで言語を切り替えられます。
2021年06月24日 追跡ページ にソーラーパネルの電流と角速度のデータ項目とグラフを追加しました。

概要

名称 RSP-01(愛称:Selfie-sh セルフィッシュ)
主ミッション アームを展開し、先端のカメラで衛星本体と地球を同時撮影する
サブミッション 機械学習による画像認識とチャット機能、リアクションホイールによる姿勢制御の実証
姿勢制御 沿磁力線制御
サイズ 1U(10x10x11.35 cm)
重量 1.29 kg
軌道高度 380~420 km程度(放出時の国際宇宙ステーション高度)
軌道傾斜角 51.6°
ミッション期間 100~250日程度(弾道係数/放出高度/太陽活動などに依存)
打ち上げ日 2021年2月21日(日本時間 JST)
打ち上げ場所 米国の中部大西洋地域宇宙基地(MARS, ワロップス飛行施設)
ISS到着日 2021年2月22日(日本時間 JST)
ISS放出日 2021年3月14日(日本時間 JST)

ライフサイクル

  • JAXA引き渡し
  • 射場待機
  • 打ち上げ
  • ISS到着
  • 放出
  • ファースト
    コンタクト
  • 自撮り
  • チャット開始
  • 運用終了

ミッション説明

  • 自撮り機能

  • 自動画像選定

  • 通信

  • 姿勢制御

  • チャット

  • デザイン

  • 構造

伸縮アームを用い衛星搭載のカメラで『自撮り』

  • 自撮り機能に必要なCubsat筐体と伸縮アームの設計、製作(熱・構造系)
  • 自撮り時の衛星のブレを抑えるための機能 (姿勢制御系)
  • 自撮りした写真を処理する機能 (C&DH系)
  • 自撮り写真を地上に送信する機能 (通信系)
  • 衛星を動かすための電源機能 (電源系)

撮影した画像を機械学習により『ベストな画像を自動判別』

撮影した写真のなかからベストな画像を自動で選び、地上へ届けます。

  • 機械学習機能による画像認識(サブミッション系)
  • ブレやノイズ、太陽光による飛びを除去
  • Pythonで記述
  • Tensor Flowを使ってCNN(Convolutional Neural Network)を実装
最適な画像を選択

超小型通信機を独自開発し、各種『データを地上に送信』

  • 無線機の内製により、省スペース化とコストの問題が一挙に解決
  • 通信距離400km。衛星通信の回線設計
  • FRISKケースサイズ。小型化を実現したハードウエア構成
  • カスタム部品なし。市販部品のみを使った回路設計(通信系)

超小型リアクションホイールによる『姿勢制御』

磁気トルカと、CubeSatでは珍しいリアクションホイールも搭載し、 1軸の角速度の制御の技術実証も行います。

  • 市販の1軸のリアクションホイールを実装
  • メインの1軸の磁気トルカ(トルクコイルは手巻き)(姿勢制御系)

地上からのメッセージを、機械学習で自動返答し『チャット』を実現

地上からツイッターで集まったメッセージに「RSP-01」の部品が自動で返事をするという『チャット』をサブミッションとしています。

  • 誰でも人工衛星とチャットを楽しめる
  • Twitterに投稿されたメッセージをRSP-01の地上側システムが収集し、RSP-01に送信(地上局系)
  • 応答メッセージの生成には、機械学習ライブラリ「scikit-learn」を利用し、ラズパイZero上で処理。

スタイリッシュな人工衛星デザイン

RSP-01は機能的に作り込まれた世界初のデザイン人工衛星です。 機能の塊である人工衛星にデザイン?と言うのが一般的な考えかと思いますが、RSP-01のミッションは自撮り。 つまり被写体になるため、カッコよくて映える外観が必須なのです! また腕を伸ばしてスマホで自撮りをしているかのような外観にしたり、リーマンサットのイメージカラーであるブルーを各所にあしらうなど、一眼見てこの衛星のアイデンティティが伝わるようにも工夫しています。 機構などの細部から全体の色合いまで、エンジニアとデザイナーがアイディアを出し合いながら作り上げたRSP-01、このマシンによって夢描いたようなかっこいいSFの世界に向かって、一歩前進できたのではないでしょうか。

超小型人工衛星 RSP-01の構造

筐体

搭載機器、部品、配線経路を最適化し必要な搭載機器の詰め込みに成功しました

アーム機構

  • マジックハンド方式による展開機構(最大約10cm)
  • 伸縮可能
  • 展開→連続撮影→格納まで一連の動作を自動化
  • 展開距離を監視するアボート機能